2016年1月14日木曜日

マルセイユのユダヤ人学校前「斧」暴行で キッパ着装にオランド仏大統領が発言

(パリ=飛田正夫2016/01/14 16:59日本標準時)13日、オランド仏大統領はエリゼ大統領官邸での閣議で宣言し、フランス人市民が自分で選んだ宗教のために暴力をふるわれたり中傷の恐怖から帰結してこれを隠さなければならないというのは、フランス共和国の政教分離(ライシテ)の精神に照らして、受け入れられないものだと宣言した。マルセイユのユダヤ人学校の教師が青年に斧で危害を加えられた事件で、イスラム主義者のテロの標的になりやすいためにユダヤ人男性の装束するキッパ(丸型帽子)をしばらくの間、着けないようしようとマルセイユの審議会のズヴィ・アマー(Zvi Ammar)議長が事件のあった翌日の12日に薦めていたからだ。これが欧州ユダヤ人協会の責任者や、仏ユダヤ人協会(Crif)のロジャー・キュキィルマン(Roger Cukierman)氏はマルセイユ事件を批判してキッパを捨てるなどユダヤ教の道徳の退廃だなどと、各方面から批判が起こっていた。

キッパを着けてもその上から帽子を被って隠すことで危険は避けられるとした市民や行政担当者の意見もでていて論議になっていた。

オランド大統領はフランス国のライシエは、一人一人の選んだ宗教を、尊厳ある条件の中で公共の場においても、国の規則に従って信仰ができることを保障しているのであって、隠れてすることはないと言っている。

ル・ポワン誌は、2015年の世論調査会社ifopの企業情報戦略部長のジェローム・フーケ(Jérôme Fourquet)氏による分析を引用している。それによると、ユダヤ人男性のキッパはユダヤ教会の外で着用する者は極少数派であるという。常時もしくは時々着けるとするのは18歳から35歳の青年層では41%で、その他の年代層は24%となっている。フーケ氏はキッパ装着と人種差別暴力とは非常に大きな繋がりがあるとしている。ユダヤ人の22%が既にキッパを着けることで暴力になって着けなくなった。キッパを常時もしくは 時々着けるとするユダヤ人の77%が既に人種差別の暴力の標的になっているといっている。

キッパ(丸型帽子)の装着はユダヤ教徒の義務ではないが、彼等には神の保護がそのキッパにはあるという宗教意識が働いているようだ。

フランスでは1月初めに、風刺週刊紙チャルリー・ヘブドのジャーナリスト殺害事件があり、パリ東部のポート・ド・ヴァンセーヌのユダヤ人商店がテロ襲撃されて、イスラム主義者からのテロを恐れてイスラエルに逃れるユダヤ人は2015年には7900人と記録的な数字になった。

【関連記事】

http://franettese.blogspot.fr/2016/01/15.html

マルセイユで15歳の少年が「アラーの神の名で」ユダヤ人教師を斧で負傷


【参考記事】
http://tempsreel.nouvelobs.com/politique/20160113.AFP2847/kippa-hollande-juge-insupportable-que-des-citoyens-francais-doivent-se-cacher.html
http://www.europe1.fr/politique/kippa-hollande-juge-insupportable-que-des-citoyens-francais-doivent-se-cacher-2649921
http://www.lepoint.fr/societe/l-agression-de-marseille-relance-le-debat-sur-le-port-de-la-kippa-13-01-2016-2009667_23.php