2016年7月27日水曜日

ノルマンディーの教会で2人を殺傷 「反テロ=宗教戦争」回避のオランド

(パリ=飛田正夫)7月26日10時45分頃に、上ノルマンディーの首都ルーアン近くのサンテ・エチエンヌ・ドゥ・ルーヴレー(Saint-Étienne-du-Rouvray)の町の教会が2人のテロリストに襲撃された。人質に捕られた僧侶(86歳)1人が殺害され、夫婦でいた信者の男性(86歳)が重傷を負って病院に運ばれた。2人の犯人は教会を出た所で警察に射殺された。オランド仏大統領は、総てのカトリック信徒が、総ての宗教者が、そしてフランス人が狙われていると話し、仏国だけでなくドイツも狙われていると話して、総てのフランス人の連帯を呼びかけた。これに対し、事件のあった10分後にはサルコジ前大統領はメディアで話し、ニース市での殺戮事件の後で仏政府のテロ対応が変わったのだと批判した。我々の敵は国境も無くモラルもない。許されないものだ。私は政府に対し戦争なので勝つほかなく、躊躇している時ではないと言いたいと発言した。これは宗教戦争を全面的に認め促進させるもので、「反テロ」を叫びながら十字軍以来のフランスのイスラム教徒に対する「宗教戦争」を肯定する危険な発言だ。
カトリック系新聞の「コワ」のジャーナリスト、イザベル・ド・ゴルマンさんは、これはピェージュ(罠)なのだ。ダエッシュ=イスラム主義のテロリスト(IS)の罠なのであって、イスラム全部を危険だという見方に引っかかってはならないと話している。フランス国民を分断化する企みが右派陣営やテロリストの狙いなのだと心配している。

教会には朝のミサを執り行っていて聖職者4人とカップルの信者の合計6人がいた。犯人は東側の祭儀準備室の方から入った模様。犯人は刃物で86歳の司祭の頸動脈を刺して殺害させた。背負っていたリックの中には3本の刃物と時限爆弾に見せかけた料理用の時計がアルミ・ホイルに包まれているのが見つかった。重傷の信徒は命を取り留めたという。21時15分に事件をまとめたパリ共和国検事の記者会見で発表されている。

犯人の一人はシリアのダエッシュ(Daesh=IS)との合流を2度ほど企てたてフランスに帰されていて、足に電子ブレスレットをつけていたが、週一回の出頭義務とかいくつかの制限の中で午前中などの外出を許されていたという。他の1人はアルジェリア生まれの未成年でテロリストの兄弟だった。

2人のテロ襲撃はダエッシュ(Daesh=IS)によって犯行声明が出されている。ISはシリアの連合国側に対し答えたものだと表明している。テレビ(BFMTV)や現地ノルマンディーの「Normandie-actu」が報道。(最終変更=日本時間⇨2016/07/26/午後9時57分 ; / 文字数 ; 1099)


【参考記事】
http://www.normandie-actu.fr/attentat-eglise-saint-etienne-rouvray-terroriste-bracelet-electronique_221509/
http://www.normandie-actu.fr/breves/direct-attentat-dans-une-eglise-pres-de-rouen-un-foyer-de-derive-radicale-mis-a-jour-en-2014_221494/