2016年7月13日水曜日

仏裁判所がメラ事件で仏政府を断罪 サルコジの人権犯罪事件か


(パリ=飛田正夫)2012年3月15日にフランスの南部モントーバンでモハメッド・メラ青年に殺害された二人の軍人の内の一人アベル・シェヌーフ(Abel Chennouf)主任伍長の父親(Meyer)氏が政府とサルコジ前大統領を告訴していたが、今回2016年7月12日に、仏裁判所が当時のサルコジ時代の仏政府に有罪判決を出した。この事件はサルコジが最終的に大統領選挙の第二期連続を勝利できずに、オランド氏の前に敗北に終わった2012年の選挙運動期間に、第一回目予選投票と第二回目の決選投票の間で起こったものだ。急に舞い起こった不思議な事件であった。メラ事件の報道は、人種差別を喜ぶ右派勢力に外国人嫌いの正当性の根拠を提出させて、イスラム教徒の殺害犯罪をフランス市民の目の前に突きつけて、票稼ぎのための証明を与えようとしたのだと思える。こういう事件の演出は、フランス人の心の奥深くに眠る、民族的・人種的な偏見や怨念を呼び覚ますことは十分に予想されるのである。メラの犯罪はずっと後でも良かったわけで、なぜこの期間に起きたのか?が問われた裁判だともいえる。
メラはイスラム教徒であり、殺害された中にユダヤ人学校の生徒たちがいて、人種差別と結びつきやすい性格の事件であったといえる。このことがこの事件を更にメディアが大きく掻き立たせる条件にしていたと言える。 政治の舞台で大統領選挙の投票行動へと民衆を動かしている学問や科学技術があるとしたら、これは重大な人権犯罪事件に加担していることなのである。裁判所のこの判決を2016年7月12日に、いち早く報道した20minutes :frは、「大変に珍しい判決である」と、ふざけたように書いている。

仏裁判所は、仏政府が2011年暮れにモハメッド・メラが危険であることを承知の上で、メラ青年への監視を停止決定したことが、メラの殺害事件を実現させた根本的な誤りであったとして厳しく裁いた。 

ニーム行政裁判所では、この政府の誤りが無ければ、メラの殺害テロの危険性は阻止できた筈だと言っている。 

このモントーバンでのメラ青年の殺害は最初ではなくて、その前にトゥールーズのユダヤ人学校を襲撃し教師と3人の子供を殺害している。訴えを起こしていた青年軍人アベル・シェヌーフの父親は、このような危険な人物を野放しにしていてはいけないと語っている。の父親は当時のサルコジ大統領とエリック・ブルト財務相などの責任者ある立場の人が、何もしなかったとして無責任な人々を訴えていくと話した。当時のメディア報道が異常に加熱化した一方的な洗脳の拡声器になっていたことも反省されなければならないだろう。

(文字数 ;1103)(投稿日本時間 ;午前12時52分)(最終変更=投稿日本時間 ;2016/07/20   / 文字数 ;1116)
【参考記事】
http://www.20minutes.fr/societe/1887867-20160712-etat-condamne-justice-mort-militaire-tue-mohamed-merah
http://www.rtl.fr/actu/societe-faits-divers/l-etat-savait-ce-qu-allait-faire-mohamed-merah-assure-le-pere-d-abel-chennouf-tue-a-montauban-7784071637
http://www.lemonde.fr/societe/article/2016/07/12/assassinat-d-un-militaire-par-merah-l-etat-accuse-de-faute-et-juge-en-partie-responsable_4968361_3224.html
http://www.20minutes.fr/toulouse/1777779-20160201-pere-victime-merah-porte-plainte-contre-woerth-sarkozy