2016年7月28日木曜日

ニースの警察数で リベラション紙が火付け サルコジが油を注ぎ 誤った見解を元に内相批判

マリー・フランス・マネジェー・ギヨマッチ(Marie-France Moneger-Guyomarc'h)IGPN所長がこの調査結果を7月27日に発表した。それによると7月14日のニース市の花火大会で大殺戮事件のあったプロムナード・ド・アングレ(英国人の散歩道)には、国家警察64人とニース市警42人が警備を担当していたのであり、仏政府へのこれまでの誹謗中傷の讒言が、誤った見解を元にした解釈結果であったことを記者会見で述べた。フランスの警察を取り締まる警察(IGPN)が調べに入った南仏ニース市で84人の死亡者をだし300人以上を負傷させた殺傷テロ事件では、大型トラック16トン車が花火を見に集まった群衆に突撃した事件で、当日市内には、仏国家警察は全然いなかったとして、そこから仏政府のテロ対策が悪いからだという噂が流された。カズヌーブ仏内相は国家警察がいたと嘘を言っていると批判が起こり、辞任要求まで出されて大騒ぎになっていた。事件の透明化が急がれていたもの。これに対し、エストロジィ氏は、国家警察は64人ではなく39人だったとして、国は嘘を言っている国家批判を繰り返している。 ニース市の英国人の散歩道への飛行場側からの入口であるガンベッタ(Gambetta)に設定されたバリケードは市警察が担当することになっていた。事件直後に、リベラション紙が入手した1枚の写真が報道されてこれが問題になって、その写真には2人の市民警察しか映って無いので国家警察はいなかったのかとして、これは政府が警備の警察を出さない怠慢だとして右派の政治家が批判して騒いだ。
IGPNの調査で、これが誤った解釈と理解による批判であり報道であることがわかった。一早く、この国家警察が配備されてなかったという報道を捉えて、サルコジ「共和党」党首は、チャルリー・ヘブドのテロ事件以降、18カ月もフランス政府はこれまでテロ対策を何もしてきていないと批判して見せていた。同氏は、世論を揺さぶり分断させるのが目的だったようだ。

マネジェー・ギヨマッチIGPN所長は、国家警察の担当したバリケードのコントロールは、メイヤーバー(Meyerbeer)、ヴェルダン(Verdun )及びポシェン(Phocéens)であり、ニース市警察の担当はガンベッタ(Gambetta)とイル・ド・ボテ( Ile de Beauté)であったと言っている。事件少し後で、リベラション紙(7月20日)の掲載した写真とはこのガンベッタ側のものであって、そこには市警察が2人だけ写っていたものだ。テロ犯行者のモハメッド・ラウアイエジャ・ブゥヘェルが大型トラックを暴走させて歩道側から乗り込んで突撃侵入したのはこのガンベッタだった。当然のこと国家警察はここには配置されていなかったのであるが、伝統的にこの花火大会は7月14日の革命記念日でもあり、デェフィレ行進した市警察が夕刻に予定された市のガーデン・パーティに招待されて、その間を国家警察が肩代わりするのだが、事件の起きた時刻には、すでに2人の市警察は21時からは持ち場であるガンベッタに戻っていたのだとマネジェー・ギヨマッチ氏は話している。

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リベラション紙でガンベッタのチャック・ポイントの写真が掲載された時に、不思議に思ったのは、海岸側にあるプロムナード・ド・アングレ(英国人の散歩道)の幅が全然わからなかったのだが、後日の報道でこの幅が車道よりも広いことがわかった。
サルコジは、ニース市での惨事が起こった7月14日からツイッターで書き込み初め、15日にはニース市に来てメディア化されて、犠牲者やフランス市民の感情に取り入ろうとメディアの話題をさらっている。

ニース前市長クリスチャン・エストロジィPACA(パッカ)プロヴァンス・アルプス・コートダジュール地方議会議長もベルナール・カズヌーブ仏内相のテロ対策の不備だとしてその責任を批判した。7月14日のニースでの花火大会は国と市が共同で準備会議を4回ほど開いていて、警備の分担なども話しあわれてきたものだが、両者の会合にエストロジィ氏は一度も顔を出さなかったという。同氏は6月中旬ごろからは、市長ではなくてニース市の筆頭助役であった。

ニース市警の監視カメラ担当責任者であったサンドラ・ベルタン(Sandra Bertin)さんは、自分は監視カメラに写ってないのは見てないので、国家警察の数を変更するように内務省から圧力があったが、それはできないなどと、論議を起こす驚くべき発言があってこれもメディアが真実を探らずに一方的な論議を拡大させた。結局は国を批判するニース市警の声を増大させ、政府は無策で何もやってこなかったというサルコジの意見を支持するのに役立っていた。困ったことにこれらの嘘や讒言はそれを止める者が出てこないと、どこまでも急激に増大していくもので、その悪いイメージは簡単には払拭できないのであるといっても、サンドラ・ベルダンさんは裁判所でまだ裁かれたわけではない。

この政府は無策で無能を喧伝する策謀を企んだ者は、嘘がばれるまでのひと騒ぎだけでも大きな収穫が期待できるとして、嘘がばれるまでこれを行う政治的謀略であったようだ。国民がその意見に洗脳された後の改心は非常に難しい事も知っているのだろう。これが怖い。ここ数年これは、特にフランス政治のサルコジの周辺に見られるものだ。
今回は、この謀略は、「ベルナール・カズヌーブ仏内相が発表したフランス政府の嘘」として大きく報道されてしまっていた。思慮のないメディアだとも思えるが、わざとこれを知っていて報道して見せる幼稚さも同時に感じるのである。

カズヌーブ仏内相は、これは政府を批判する誹謗中傷の嘘・讒言だとして告訴した。7月27日に、IGPNは、サンドラ・ベルタンさんの発言を否定した。明確にニース市内には国家警察は64人が警備していたと発表した。しかし大型トラックの侵入を想定しての対策は予想さえしてなかったと語っている。

サンドラ・ベルタン警部は、このニースの惨事のあった7月14日から15日の朝にかけて、これまで書いてきたクリスチャン・エストロジ(Christian Estrosi)支持の応援ブログFBやツイッターでの文章を削除していた。彼女はニースの監視カメラでニース前市長クリスチャン・エストロジィPACA(パッカ)プロヴァンス・アルプス・コートダジュール地方議会議長に都合が悪るくなることは言わないだろうから、この点も今後に捜査されべき事だろう。ベルタン警部が内務省から圧力があってニースでの事件当日の国家警察の配置数を変更できないかと打診してきたという暴言は、カズヌーブ仏内相を辞任させる問題にまで批判の声が高まった。ニース市警に圧力をかけたという発言は重大な告発であり、それは事実であったのかどうかは、今後の調査の中で明白になるだろう。