2016年8月27日土曜日

イスラム女性の水着で仏憲法審議会決定 元首相がサルコジは非人間的

夏の暑い時にイスラム教徒の女性が海水浴をするのに体を隠した水着を着用していることを咎め、これを着た海水浴場への入場を禁止したフランスの右派市長がいて、すでに7月末から一ヶ月以上に渡って大きな論議になっていたが、サルコジ前大統領はこのイスラム教徒にたいし、家族呼び寄せを禁止すべきだと宣言していた。8月26日アラン・ジュッペ元仏首相・現ボルドー市長が、このサルコジの人種差別的イスラム嫌いの主張に対し、イスラム人はフランス人を構成するものであって、サルコジの発言は「人間性の無い」もので、「火に油を注ぐ」ものだ。もっと「冷静になるべきだ」と厳しくサルコジを批判した。ジュッペはこれまで寡黙であたが、ようやくサルコジに反旗を翻して、仏大統領選挙への論戦が開始された。

11月に予定された仏大統領選挙の党指名代表を決めるプリメールにはジュッペはすでに出馬表明をしている。サルコジは様子を伺っていてまだしていない。

ジュッペは共和党内でも、フランス国民次元でもサルコジよりも格段の人気があって有力候補だとされている。しかし、フランスの特に国営メディアはサルコジ贔屓で、なにかといういとサルコジとニコラの名前を朝・昼・晩と必要以上に流して共和党代表はサルコジであるかのような印象操作をしているように見える。

26日、仏憲法審議会は、サルコジ友の会会長のいるニース裁判所が海水浴でのイスラム女性のつける水着の使用禁止を承認していたが、この条令を停止させた。ニースやフレジュス、ヴィルヌーブ・ルーベ市などの市条令は市民の権利を侵害するものであって、イスラム女性の水着が海水浴場での公衆の秩序を乱す危険はなく、イスラム女性の水着着用は自由であるとする決定を発表した。サルコジ等の主張が退けられている。

フランス人の海水浴の歴史はそんなに古くはなく、19世紀、印象派の時代の水浴着は縞模様の囚人服を想像させる袖長のものであったようだ。



イスラム女性がビキニ姿でなければならないとするサルコジ等の考えは、モードや流行を人権よりも先に考えた時代錯誤だといえそうだが、それもりもイスラムに対する怨念や人種的偏見が彼らの批判の元にあるのだろう。人間がどんな服を着ようが基本的には自由なのである。右派の議員たちは、海水浴場で全ての女性に同じ制服を着せれば安心するのだろうか。