2016年8月2日火曜日

米軍戦闘機がリビアのIS本拠地スルトを制限空爆 リビア社会の要請で

(パリ=飛田正夫)8月1日、米軍戦闘機がリビアの首都トリポリ東部450キロにあるスルト(Syrte)のダエッシュ=イスラム主義国家組織(IS)の本拠地を数度に渡り爆撃したことを国際社会の承認する国家統一リビア政府(リビア連合体政府GNA)の、ファイエ・アル・サラジャ(Fayez al-Sarraj)首相が発表した。米国ペンタゴンはこの空爆を認めた。オバマ米大統領がGNA首相の要請を受けてリビアのダエッシュ(Daesh=IS)攻撃を許可したもの。米軍は空軍は極めて正確な攻撃でスルトとその郊外に限定され時間も厳しく制限されていることを強調している。また、地上戦には軍隊の展開はないとしている。2011年にもサルコジによるリビア空爆があった。その後に地中海を渡る難民の苦難の時代が、このリビアの海岸からヨーロッパに向かって起こっている。リビア経済は破綻しリビアの社会再建は遠く取り残されたままだ。


シリアやイラクなどにダエッシュ=イスラム主義国家テロリスト組織(IS)が蔓延し、2011年にリビアの民主化運動の流れに乗り遅れて、マグレブや中東諸国の独裁者たちとの汚い関係を持っていたサルコジ政権は、その汚名を注ぐためのキャンペーンとして、フランスの哲学者ベルナール・アンリー・レヴィー(BHL)とサルコジとの二人だけで、リビア空爆を秘かに決めた。有名な独裁者カダフィを叩くことで名誉挽回しようとしてフランスのリビア空爆は計画されたものと見られている。

このリビア空爆では市民の犠牲になっていて、カダフィ以後のことを考慮しなかった為に、リビア経済のインフラが完全に破壊され無法地帯となって社会全体が混乱してしまった。そこに、イスラム主義国家組織(IS)とヨーロッパへの難民を送り出す違法な渡し屋(パッスー)が侵入し、その根城となってしまっている。カダフィ時代のほうが安全で秩序があって人々の暮らしも良かったと言う人も多い。

 (文字数 ;831)(投稿日本時間 ;2016/08/02午前6時51分)

【参考記事】
http://www.lemonde.fr/afrique/article/2016/08/01/libye-premieres-frappes-americaines-contre-l-ei-a-syrte_4977167_3212.html
http://www.lefigaro.fr/international/2016/08/01/01003-20160801ARTFIG00263-libye-premieres-frappes-americaines-contre-l8216ei-a-syrte.php
http://www.france24.com/fr/20160801-libye-tripoli-pentagone-premieres-frappes-americaines-contre-ei-syrte-gna-jihadistes
http://www.leparisien.fr/international/libye-les-etats-unis-declenchent-des-premieres-frappes-contre-daech-a-syrte-01-08-2016-6009379.php
http://www.rfi.fr/afrique/20160702-libye-offensive-syrte-etat-islamique