2016年9月12日月曜日

サルコジの遁走を避け 裁判が「共和党」(LC)のプリメール以前に

(パリ=飛田正夫 日本時間;‎12 ‎septembre ‎2016 08:37:16)6日、仏最高裁判所はサルコジ前大統領とそのサルコジの弁護士チェリー・ヘルゾーグとの間で交わされた携帯電話での会話の全盗聴内容によって汚職と権力関与の罪で、サルコジに裁判所出廷への道を開くことになった。この使用された携帯電話はヘルゾーグ弁護士がニースでポール・ビスムス(Paul Bismuth)の偽名で買い求めサルコジに使用させていたもの。これによってサルコジ前大統領は2017年の仏大統領選挙のLC内代表者を決める11月27日の予選選挙候補者選考(プリメール)以前に裁判が行われる可能性が高くなってきた。パリ上訴院が5月7日にその警察の盗聴内容の正当性を認めているが、有効期限が3月22日までとなっていて、その前に最高裁判所はサルコジにこの件で判決を出さなければならない。仏大統領選挙は5月だ。したがってサルコジに残されているのは最高裁判所で裁かれることだけだ。このことでサルコジもその支持母体の「共和党」(LC)もフランスの大統領の歴史として大きな汚点が残る一大事件になることを恐れている。


サルコジがこの裁判を前にこれを避ける只一つの方法は、裁判をプリメール後に引き延ばし、サルコジがこのプリメールにあらゆる方法を駆使して勝利することしか残されてない。党の代表として11月にプリメールに選ばれると、裁判で裁かれない権利が発生するからだ。サルコジはこれを狙っているし、悪いことではあるが彼にはこれしかないのだろう。「共和党」(LC)のプリメール選挙には仏大統領選挙でのような運動費の使用額に上限がないために、サルコジは何でもするに違いない。メディアにも口を塞がせ、市民の眼を塞いで騙し続けて、只ひたすら逃げ切ることを考えているだろう。

もしもサルコジが11月20日と27日に予定されているこのプリメールで、一番人気のボルドー市長のアラン・ジュッペ仏元首相に負ければ、すでにサルコジ前大統領の元エリゼ大統領官邸特別書記官であったアンリ・ゲイノがプリメール候補者にもなれなくて、9日これを蹴って「共和党」(LC)とは別に仏大統領選挙候補を宣言したが、これを前例としてサルコジが追うであろう。

サルコジの腹心であったミッシェル・アイオマリ元法相・内相、国防相も務めた彼女でさえ、今回のLCのプリメールの仕組みが面白くないと批判しながら独自に仏大統領選挙へ立候補したアンリ・ゲイノに対し、厳しい態度でプリメールの意味を見失う者として批判していた。
警察によるサルコジとその弁護士との会話の盗聴は、別件の2007年の仏大統領選挙でリビアの独裁者カダフィ大佐からの選挙資金援助疑惑での司法調査で盗聴が行われていたもので、その網に別件の権力関与事件が引っかかってきたもの。当時サルコジは、フランスの化粧品会社の大手ロレアルの大株主でフランス第2位の大富豪のベッタンクール婦人へ取り入って、政治資金をゆすっていたいたという疑惑でその裁判の成り行きが気になっていた。最高裁判所の内部事情に詳しいとされる裁判官ジルベール・アジベール(Gilbert Azibert)に探らせて、最高裁判所の動きを提供させる代わりに、それと引き換えにサルコジがひと押ししてモナコ国の高官になりたがっていたアジベールにこれを約束した。この会話内容が盗聴されていた。

実際にサルコジとサルコジの弁護士のヘルゾーグはモナコ近くまで出かけていくが、盗聴を察し取って、モナコ側への働きかけは中止している。
警察によるリビアのカダフィからサルコジが受けた2007年の仏大統領選挙での支援金事件捜査の一環の中で、サルコジとその弁護士への盗聴内容のモナコへの権力関与事件の異常性や裁判所内部への監視をしていたことが発覚されたわけだ。

リビアの独裁者カダフィ大佐から受けた2007年の仏大統領選挙での援助資金事件の方は、リビアの秘密警察でカダフィの側近であったムサクサが金をサルコジに支払ったという送金文書がサイン入りで残っている。