2016年11月28日月曜日

フィヨンの勝利は 高まった「仏共和党」高齢者裕福層の投票行動

(パリ=飛田正夫 日本時間;‎‎‎28/‎11/‎2016-19:07:07)27日に、仏大統領選挙のLC内代表者を決める予選選挙(プリメール)の投票が行われ、最終結果が出た。フランソワ・フィヨン元首相がボルドー市長のアラン・ジュッペ仏元外相を破って66,5%対33,5%で、2017年の仏大統領選挙代表となった。しかしこれは共和党内の右派の危機感を持った裕福な高齢層の投票熱の結果数で、投票場には少なかった青年層の数ではない。フィヨンを支持しなかったら自分たちの資産が増税され外国に置いてある金も無くなると心配する層が動いた選挙であったようだ。ジュッペは負けて、フィヨンを大統領選挙では支持宣言はしたもののこれまでジュッペが主張してきた思想を次期の世代が後継してほしいと遺言のように強調して語っている。この点はフィヨンが移民嫌いだったセガン派の超右派の思想を継承しているのとは全く異なってる。この部分はダイジェスト版の報道ではカットされている。


ジュッペの考えはやはりシラクの優等生として人権思想でも、フィヨンが起訴されたドゴールなどは居ない筈だとサルコジを皮肉って批判しているとはいえ、異なっている。シリアの独裁者アサド大統領に対しても認識の違いが二人の間にはある。ロシアのプーチン寄りのフィヨンとは、ジュッペはこの点でも異なっている。

メディアは右派・中道のプリメールは全く問題なく尊厳あるものであったとその成功を称賛している。しかしサルコジ派やジュッペ派が深い亀裂を残した後で今後どのように、フィヨンを支持していくことができるのかが疑問である。

来年の仏大統領選挙では国民全体でのフィヨンの支持率はそう高くはないだろう。マリーヌ・ル・ペンFN総裁を初回で打ち負かし、フィヨンの極右翼的な政策を彼らに支持させることは可能で、それをフィヨンは狙っているのだろう。

もし左派社会党が予選で負ければ、ジュペならば投票するだろうがフィヨン-サルコ路線には投票しないだろうが、ナチスを支持するペンにはなおさら投票できない。そういう左派のジレンマを予想していて、これを最終戦でフィヨンは期待しているはずだ。つまり予選でペンが負けても左派社会党が負けても、その負けた側の票がフィヨンに最終戦では入って来るように極右派のゴーリスト主軸をアピールする大統領選挙戦をしていくと考えられる。これは勿論のこと予選で残れることが大前提ではある。

左派社会党のプリメール候補登録の最終日が12月15日で、それまでにはオランドが再度の出馬をするのかどうかの表明もされるずだ。仏元経済相エマニュエル・マクロンは独自に仏大統領選挙に出たがっている。が、左派党共同議長のジャン・リュック・メランションもマニュエル・バルツ首相も、大統領選挙に出る意思のある者は全員がプリメールに立候補して、その中で左派の結束をしていかないと、今後の闘いに大きな亀裂ができて、フィヨンやペンに分裂させられる原因を作ることになる。

 【参考記事】
http://www.france24.com/fr/20161128-francois-fillon-revue-presse-primaire-droite-gauche-francois-hollande-valls-election