2017年4月20日木曜日

フィヨンの情報暗号学校訪問は 生徒の嫌悪で急遽中止 報道ではテロの危険だと

(パリ=飛田正夫 日本時間;‎‎-)フランス国営放送テレビA2や他のテレビでいつでもフィヨンの事を第一に取り上げるのに今日19日昼のニュースではフィヨンの事が話されないで左派党のジャン・リュック・メランション候補や社会党(PS)のブノワ・アモン候補や、仏前経済相エマニュエル・マクロン候補の訪問先が次々と話されているが、フィヨンの訪問先のニュースは無かった。その理由は、どうも19日にフィヨンとジュッペが6カ月ぶりに会って二人で訪問する予定だったパリにある「学校42」という通信機器会社フリーの創立者の一人でフィヨンの友人だというグザビエ・ニィエール氏が設立した情報暗号解読の学校だが、ここの生徒たちがフィヨンに忠誠をもってなくて、フィヨンの妻子に架空雇用で優遇した公金汚職の「金を返せ」などと発言していてむしろ強い敵意を示し、フィヨンの訪問に反対しているという。ラジオRTLのポリーンヌさんが報道し、一部は国営ラジオ・フランス・アンフォが短く報道している。本当はフィヨンがまた再び訪問先で小麦粉を投げかけられたりナベ釜を打ち鳴らして迎えられることを避けたかったのである。この訪問が中止になったのはテロの危険があるためだと理由をすり替えて報道する体制メディアが多いのも困ったものだ。



仏大統領選挙第一次投票を4日前に控え3月にはフィヨンの架空雇用の公金横領罪の逸脱を厳しく批判していたアラン・ジュッペ現ボルドー市長(元首相)だったが、昨日から考えを変えたらしくサルコジと共にフィヨンを支持することにしたらしい。これについてフランス国営放送テレビA2の20時夜のニュースでは、司会のプジャダスが政治記者のナタリー・サン・クリックさんに質問したが、ナタリーさんは同じ党だし仲良くなったというよりは最低限のサーヴィスでしょうと言っている。彼女は最近本当の事をいうようになってきていると思う。

それで夜のニュースではフランスとジュッペがひさびさに会った映像だけが写されて、学校訪問中止の事は話題から隠されて報道されなかった。今回も、フィヨンは訪問の先々でいつものようにナベ釜を鳴らされて批判されているように、メディアに流れれば人気が得られないと考えたのだろう。それでフィヨンの訪問は取りやめになったのだ。
フランスはメディア操作がうまく、ペネロップ事件の架空雇用の公金横領罪で起訴された時も自分や妻の写真をジャーナリストに撮られないように起訴現場の予定をずらして見せ場所を変更させている。これはボルドー裁判所でのサルコジの起訴の時の教訓なのであろう。あの車の中で震えているサルコジの目は自業自得とはいえあまりにも残酷な写真であったからだ。

16日にはフィヨンは、オーヴェール地方にあるサンチャゴ・ド・コンポステールのヤコブの墓の巡礼回路の出発点であるピュイ・アン・ヴェレーの山頂の聖堂を訪れてそこでフランスの文化的起源がカトリックにあることを訴えてフランス共和国の政教分離(ライシテ)の精神に反する保守政治の姿を暴露して見せた。これはフランス右派の票を得るのにフィヨンにはイスラム批判と共に必要な事だったのだろう。

なにしろこのピュイ・アン・ヴェレーの聖堂で第一回目のイスラム遠征の十字軍が1096年に開始された所であるからだ。サルコジも仏大統領選挙の時にここで演説をしていたが、これは二人ともイスラム嫌いを宣言して、カトリックの支持を得ようとしているのである。しかしフィヨンはここで正直なカトリック教徒であるならば国の税金を横領したりはしないとも宣言すべきだったのだ。皮肉なことにここの聖堂はカトリックの建築ではあるがイスラム世界がヨーロッパを席捲した時代の痕跡をアーチや彫刻装飾に沢山残しているのである。文化の多元性をフィヨンらは理解できないで但イスラム嫌いを主張することで、それがフランス人だと勘違いしているのが裏腹で残念なことなのである。

【参考記事】
http://www.rtl.fr/actu/politique/la-venue-de-fillon-et-juppe-a-l-ecole-42-annulee-a-cause-des-eleves-7788194121
http://www.bfmtv.com/politique/la-visite-de-fillon-et-juppe-a-l-ecole-42-annulee-a-cause-des-eleves-1145585.html
http://lelab.europe1.fr/francois-fillon-et-alain-juppe-contraints-dannuler-leur-visite-a-lecole-42-de-xavier-niel-3304238